もうすぐ詩集が

 十二月になりました。久しぶりに書きます。
 喜んでください。もうすぐ詩集が完成します。刊行日は、あなたの誕生日の12月16日にしました。あとがきを書いたのは、お義母様の誕生日の9月6日です。それぞれの日付が一冊の詩集の中に印刷されます。
 これらの詩は、あなたの急逝後、やっと出てくるようになった言葉を書き留めたものです。旧右近通信に書きなぐったものです。実際にはプロバイダーの手違いから、すべて削除されてしまったのですが、それらの言葉を取り戻したくて、一生けんめい思い出して再び書きました。それをホームーページ「愛別離苦」に掲載していましたが、形にしておきたくて本にまとめることにしました。
 あなたは私の書いたものを本にさせてやりたいと思いつづけていましたね。あなたが居なくなってしまった翌年の2005年に小説「透けてゆく人」、そして2006年に詩集「愛別離苦」を私がひとりで出版することが、ほんとうに不思議です。あなただって自分を悼む詩集が、私の二冊めの出版だなんて思ってもいなかったことでしょう。これからも書いたものを出版化して形に遺したいと考えていますが、この詩集には格別の思いが込められていることは言うまでもありません。
 あなたはいつも私を見ているでしょうから、報告する必要もないかと思いますが、私はそれなりに頑張っています。残念ながら「天罰」は一次選に洩れてしまいました。どこがいけなかったかは分かっています。応募総数も多い著名な賞に、大胆にも応募することが間違っているのかもしれませんが、一次選考突破を目標にして、何か書けたらまた出します。そもそもあの小説は、気持ちの整理をするために書いたものです。作品としての評価は二の次でいいのかもしれません。(と負けおしみ)
 9月から2ヶ月間、「言葉屋」を書いて楽しみました。「天罰」よりも、うんと楽しく書き進むことができました。やっぱり楽しむことが一番ですね。短編のつもりが、知らぬまに140枚になっていました。このたび初めてサイトの皆さんの感想をいただきましたが、生のお声を聞くことができ、とても嬉しかったです。
 書き終わると遺品の整理を始めました。虫食いを数点の服に見つけてからは、何でも置いておくのではなく、貰っていただく方や、役立てていただける所に早く送らなければと思いました。あなたはLサイズで、細めの私に着られるものなどないと思っていましたが、綿シャツ、セーター、ジャケットに、私でも着られるものがありました。ネクタイは、巾を狭めると着用できます。コートは肩や身頃がどうしても無理ですが、虫の食いにくいものですし、あなたも私もコートが大好きなので、もうしばらく眺めていたいので置いておきます。
 それからホームーページのことですが、「平成道行考」は11月23日に4周年を、「愛別離苦」は11月30日で2周年を迎えました。道行考は2002年のスタート以来、初めて10日間の休みをとりました。連載小説を無事に終え、少し休みたかったのです。あんなものでも、シロウト作家なりに燃焼しましたから、充電する必要がありました。それに、5年めに突入するにあたり、サイトでの私のあり方も考え直したかったからです。創作の面白さが分かるにつれ、それに専念するか、あるいはこれまでのように、多少なりとも社会的役割を担った私も維持して発言すべきかどうか。そんなことを考えたかったのです。しかし、答は出ませんでした。
 ところで、あなたは最近、少しも音で伝えてくれません。私がしっかりしてきたと思ってのことですか。2年4ヶ月を経て、だんだんそうなってきたかもしれませんが、寂しいことに変わりはありません。けれども先頃、文化勲章をもらった寂聴さんが言っていました。「人は誰だって孤独です。それが辛いなら、好きなことを一生懸命すればいいのよ」
 その通りだと思います。あなたのそばへ行きたいと思ったときは、読んだり書いたりしてその考えを追いやります。私には、まだ書かなければならないことがあるはずです。
 ひとりの晩酌にも慣れました。あなたも知らなかった焼酎のおいしさを知り、夕餉に楽しんでいます。早くひとりにされたのは、書くためなのかと呑みながら考えます。
 そちらでは四季はあるのですか。こちらはそろそろ冬になります。

2006年12月3日


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