庭仕事

 ずっと書かなくてごめんなさい。
 このあいだお正月だったと思ったら、もう一月も下旬です。矢のように月日が過ぎます。もっともっと速く過ぎてしまったらいいのに。
 今日、とうとうKと茄子を抜きました。去年の八月から半年も置いていました。その間、毎日毎日ながめていました。十一月頃にできた最後の実はどうしても摘めなくて、そのままにしていたら駄目になって枯れてしまいました。食べてあげればよかったかなと少し後悔しています。木もぜんぶ枯れていましたが抜けませんでした。
 添え木のポールの方からまず抜こうとしましたが、茄子の幹とポールは緑色の紐で結ばれていました。その紐をほどく時、ああ、あなたがこれらを一つ一つ結んだのだと思うと急にせつなくなりました。Kもそう感じてか二人で無言になってしまいました。途中から私は紐をほどくのをやめました。ポールだけを抜き、緑色の紐が結ばれたままの茄子の幹を丁寧に抜きました。抜いたナスの枯れ木は捨てるのに忍びなく、
「アートみたいに部屋に飾ろうか」
「いけ花でもあるよ。色を塗ったようなのが」
 私が言うとKも賛成して答えました。
 沈黙から抜け出すように二人で笑い合いました。さて、どんな作品になりますか。それはできてからのお楽しみ。まずは根っこの土を洗い流し、木を完全に乾かすとしましょうか。
 抜いたあとの土をKは鍬で耕しました。蝉の幼虫が一匹出てきて、別の場所へ移してやっていました。あなたも知っているように、あの子はほんとうに優しい子です。あの子ができて私たちは慌ててバタバタと式を挙げ、結婚生活を始めたのですから、Kこそ「えんむすび」の神様だったのかもしれませんよ。
 ナス科の野菜は二年つづけて同じ場所に植えると、二年めはよく育たないのだとKは言います。それを連作障害というのだそうです。トマトもナス科だそうで、今年は茄子とトマトをどこへ植えようかと、あの子は考えてあぐねていましたよ。あなたはお構いなく同じところに植えていたと言うと、お父さんは、きっといい土を毎年たくさん入れていたからできたのだろうと言いました。どうやらその様ですね。今年はKがおいしい茄子を作ってくれることでしょう。
 穴だらけですが、白菜もキャベツも巻いてきました。ミニ大根や人参も育ってきました。ほうれんそうの間引き葉は、おみそ汁やスープに入れるとおいしかったです。大根葉はバター炒めにしてみると、これもおいしかったです。あなたが植えたネギも元気です。そうそう、カレーに入っていたじゃがいもは、Kが育てたものですよ。とってもおいしかったでしょ。
 万年青(おもと)の実は今年はいちだんと赤いです。水仙やチューリップの芽が出てきました。冬のパンジーは色とりどりにきれいに咲いています。芝生のあちらこちらに例のイネ科の雑草が青々と偉そうに生えているので、目につくところを手あたりしだいに抜きました。Kは花と野菜で、私は芝生をがんばります。応援してください。
 それから、庭で香典袋と喪中ハガキ、寒中見舞ハガキ、満中陰の挨拶状の残りを燃しました。こんなものは見たくありませんからね。だってあなたは今でも私とここに住んでいるのでしょ。娘たちが来ると、二階には誰も居ないはずなのに、よくミシミシと音がしますよ。わかっています。あなたでしょ。
 私は少しずつ元気になってきています。それを喜んでくださる人がたくさんいます。私はいろんな人に応援していただいているのだとわかりました。がんばります。ちゃんと見ててね。Ryoはがんばるから。

2005年1月23日


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