今日で半年

 あなたが逝って今日でちょうど半年です。十年も過ぎたようでもあり、きのうのことのようでもあり、実際には六ヶ月なのですね。今日はあなたの祥月命日ですが、節分でもあるのですよ。あしたはもう立春なのですね。
 節分の思い出を話しましょうか。子どもたちが小さかった頃、豆まきは家族の年中行事のひとつでした。鬼はいつもあなたの役でした。娘たちはあなたに向かって豆をぶつけ、たいそうはしゃいでいましたね。あなたは鬼の面をかぶり、大げさにやられたふりをして逃げ廻ってくれました。特に次女のHはダイナミックなことが好きですから、あなたを追い廻しては集中攻撃、家じゅう豆だらけになりました。引越しのたび、箪笥の後ろから豆が出てきたものです。豆まきは家族の楽しい思い出のひとつです。
 今年は豆は買いませんでした。ひとりで豆まきもありません。夕食には鰯を焼いて食べました。巻ずしは供えてあるでしょ。「こんなものは寿司屋が考えた陰謀だ」と言いながら、買っていないとガッカリした顔をしていましたっけ。巻ずしを食べるいわれがはっきりしないので私は鰯さえ食べればいいと思うのですが、あなたが機嫌よくなるので巻ずしを買うようにしていましたよ。仏さまの方でなく、あなたとお義父さんの写真の前に、それぞれ鰯と巻ずしをお供えしています。今年の恵方は西南西だそうですから、そちらを向いてお二人で“丸かぶり”をしてください。
 私は少しずつ気力を取りもどしています。春から積極的に動こうと、したいことを具体的に考えはじめました。数えあげれば、したいことはいくつもあって、ありすぎて困ります。したいことといっても私の場合は制限つきですから、できる範囲のことを絞っていかなければなりません。あなたは、好きなことはどんどんやれよと言いながら、私がひとりで外へ出ていくことにはいつも不満そうでした。ちょっとそこまで買物に出かけただけでもひどく不機嫌になり、子どもたちは当たられて困ったそうです。
 話はそれてしまいましたが、私が外へ出て何かの活動を始めても、あなたの不機嫌な顔を見なくてもよくなったのは事実です。ですから大いに外へ出て、大いにいろんな人々と知り合い、接し、教えていただき、活動したいと思います。いま考えている“したいこと”は、もちろん文章を高めること、あなたとの思い出の地を巡ること、人のために何かをすることなどです。
 人のために何かをするといえば美しく聞こえすぎてしまいます。人のために何ができるかを考えることは、こんな私でも必要とされる場があるかどうか探すことです。あなたが召され、皆に先だと思われていた私が残りました。これはまだ、何かしら私には使命が残されているということでしょう。その場はどこにあるのかを探りながら歩きはじめようと思います。進歩したでしょ。ほめてください。
 般若心経をあげました。なかなかうまくなりません。お経を読むにも腹式呼吸、腹筋が大切ですね。もっと鍛えなければなりません。あのカッコいいお坊さまのように。
 寒さがやっとゆるみました。とりあえず、「透けてゆく人」を最後まで頑張ります。あなたも応援してください。

2005年2月3日

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