冬になりました

 久しぶりに書きます。お元気ですかというのもおかしなことですが、お変りありませんか。ご覧の通り、私は何かと忙しくしています。あなたが居なくても、いろいろとするべきことがあるのです。
 「愛別離苦」が一周年を迎えました。先日、「平成道行考」が三周年を迎えましたが、偶然にも11月という同じ時期に開設したのですね。近頃はサイトの更新をしていなくてごめんなさい。きっと「いいよ、そんなこと」と云ってくれるとは思います。夏以降、出版のことで忙しく、今はまた、小説を書き始めたので余裕がありません。どうも私は不器用で、あれもこれもと同時にできないようです。年令とともに能力が落ちたとは思いたくないのですが、きっとそのせいもあるのでしょう。
 あなたが居なくなってしまってから、季節の移り変わりに鈍感になりました。悲しくなるから無理に気付かないふりをしているのかもしれません。秋だからといって、もみじを見に行こうとは今年も思いませんでした。裏山の紅葉を毎日ながめていますから、わざわざ出かけることもありません。二階のあなたの部屋からは、山々の色の変化が十二分に楽しめますね。本当にここはいい所だなと、あなたがいつも云っていましたが、ひとりになって、私はまだ自然に心を向けることができません。
 師走になると、街ではとたんにクリスマスやお正月の雰囲気が漂います。それもまだ、私には関係のないような気がしてしまいます。あなたの誕生日も来るし、世間の人とは逆に12月になるとむしろ気分が沈みます。ツリーもしめ飾りも出しません。あなたがしていたことは、あなたが居なくなったので、する必要はありません。楽しく過した思い出だけで充分です。たくさんの楽しい12月を頭の中にストックしてあります。
 なんだか暗くなりましたね。では、小説の話でもしましょうか。「透けてゆく人」の重版はまだ未定です。早く決定の知らせが来ないかと待ち遠しいです。「天罰」は何かに投稿してみます。あなたが生きていた頃に、書こうとしては書けなかったあの物語です。あなたの書いた手紙をそっくりそのまま使わせてもらいましたから、あなたとの〈合作〉になるのかもしれません。原稿用紙60枚まで書けました。うまく書いてやろうなどと思わずに、ひたすら書いて削っていくやり方で進めます。あの小説を書いているときは、さすがにあなたは音をたてずに神妙に黙っていますね。おかしいです。
 ところが数日前から、また音がします。眠ろうとしたら戸をガタガタ、CDプレイヤーの辺でミシッ、パソコンの辺でパキッ、ゴミ入れの辺でガサッ。そうでした。去年、やっとサイトをupして寝床に入ったとき、戸をガタガタさせたように、今年も「愛別離苦」の一周年に戸がガタガタ。あなたでしょう?猫はそれぞれ、炬燵、あんか、布団の中でしたから、あなた以外に考えられません。
 「天罰」をがんばります。百枚少々の中編に仕上げようと思います。無駄なことを省き、密度の濃い文が要求される中編は難しいですが、やり甲斐があります。書くことが面白くなってきました。初作よりも楽に鉛筆が進みます。がんばります。あなたには、いちばん応援してもらわなければなりません。


2005年12月1日

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