2007年になりました

 明けましておめでとうございます。
 2007年になりました。私の嫌いな2004年が、また遠ざかりました。
 今日はKとJさんが来ましたよ。Kはいつものように私に三段重を作ってきてくれました。娘がいて良かったと思います。Hは修士論文の追い込みで、お正月は帰って来ません。残念ですが、しかたありません。あの子が帰ってこないと分かったとたん、おせちを作る気がせず、少量のものを一つ注文してしまいました。料理屋のものはそれなりに味は良いのですが、私は娘の作ったものの方がおいしく感じます。Kは暮れまで仕事で、元日に作ったそうです。頑張って品々作っています。
 私はカニしゃぶの用意もしていました。カニの棒肉を2キロ注文して置いてありました。何年ほど前のことだったでしょうか。グルメ券をお歳暮にいただき、相談してカニしゃぶ用のカニにしようと決めたことがありました。届いて箱を開けると、棒肉が箱にきっちりと並べられていました。娘たちと四人で、初めてするカニしゃぶに大はしゃぎでした。カニさんには申し訳ないけれど、「おいしい!」の連発でした。あの時は楽しかったですね。今日も、もしあなたが居たら、どんなに喜んだだろうかと思いました。カニはおいしかったですよ。
 あなたが逝って迎える年末年始は三度めになりました。このたびは人並みに掃除をしました。新しい年を迎える心づもりを、私なりに頑張りました。掃除をしていてこんなことがありました。30日のことです。玄関の高い所にあるガラスを拭いていたのですが、あなたが居れば、こんなことは全部やってもらえたのにと思いました。その時です。また一匹のハエが飛んできて、白い壁紙に止まりました。気落ちしたとき、悩んでいるとき、寂しくてたまらないとき、きまって一匹のハエがどこからともなく飛んできて、私のそばの何かに止まります。また現れたと思って、「来てくれたの?」と訊くと、驚いたことにそのハエは、一度だけ大きく羽根を広げてみせました。
 桜を見ても、お祭りに行っても、ルミナリエを見に行っても、どこで写真を撮ってもらっても、白い玉が私のそばに写ります。こんなことはあなたが生きていた頃にはなかったことなので、やっぱりコレはあなたかなと思って見ています。それからハエもです。葬儀の次の日、うるさいほど一匹のハエが夜どおし私のそばに付きまといました。それ以後、ことあるたびにハエが一匹現れます。これはやっぱりあなただと確信しています。
 お正月に話を戻しましょう。若い頃のお正月は忙しかったですね。大晦日からあなたの実家へ行ってお手伝いをし、年越しをしました。関西の人間にとって、大晦日に尾頭つきの魚を食べ、作ったばかりのおせちをいろいろ食べるという風習には驚きました。明けて元旦には、お屠蘇を飲み、おせち料理を食べました。そのあとお義父さんは、ものすごい数の年賀状を一枚ずつ点検し、出していない人にさっそく返事を書きます。日暮れまでそれに費し、暗くなりかけた頃、近くの神社へお参りに行きました。それから私たちは一旦、家へ帰り、私は自分の作ったおせちを詰め、翌二日に、両方の実家へ持っていく準備をしました。
 お正月は二日がいちばん忙しい日でした。お義父さんは、尼崎の神社へ全員で参ることを生涯義務づけていました。子どもが小さい頃は、着物を着せて連れて行きましたが、帯をきつく締めているせいか、よく車酔いをして困りました。それが終わると、夕刻に神戸へ向かいました。私はきょうだいが多いため、皆が子ども連れで集まると、ほんとうに賑やかでした。私は実家では緊張することもなく、誰もが明けっ広げで楽しく過しましたが、あなたはいつも居心地が悪そうでした。そんなところは、いつまでも大人になれませんでしたね。
 夜更けに帰り、三日はやっと家で寛げました。年末からバタバタとしていたので疲れも出ましたが、家族だけで過せることは、ほんとうに嬉しいものでした。親やきょうだいたちと会うことも嬉しいことに相違ありませんが、やっぱり何の気がねもなく食べて飲み、子どもたちとゲームなどして遊ぶことは、楽しいことでした。今はお正月といっても娘夫婦が来るくらいで一人で過す時間が長くなりました。それでも心の中に、いちばん頑張っていた頃の、忙しかったけれど楽しいお正月があります。
 明晩は、Kがお義母さんの所へ挨拶に行くそうです。お義母さんも、お義姉さんも、「愛別離苦」の詩集に心を打たれ、涙が止まらなかったということです。製本不良で刷り直しとなりましたが、出来上がったら、あなたのゆかりの人たちに、多く読んでいただきたいと思います。
 ガレージと庭の工事、水道管の水もれ工事、出版社とのトラブルなど、十二月は暮れまで大変でしたが、どんなことも一人で頑張っています。あなたに頼れなくなってしまったので、頑張るしかありません。今年も私を守ってください。白い玉やハエになって、いつでも現れてください。今年もよろしくお願いいたします。


2007年1月2日


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